免許とって海までドライブ!?

コラム:承継不安の処方箋

HPをご覧頂き、ありがとうございます。
継ぐ研ネット代表の辻󠄀岡 珠磯(つじおか たまき)と申します。

本コラムは、経営者を親にもち、会社を継ぐ可能性がある方を対象に、
継ぐ「不安」をテーマに書いていきたいと考えています。

今回は、事業承継は、車の運転に似ている?
という話から、承継不安の原因と解決策を探りたいと思います。

あなたは、まだ、車の免許をもっていません。
よし! 車の免許をとって、自分で運転して、海までドライブだ!
と、決意します。

決意しただけでは、車は乗れませんよね?

教習所に入り、実技訓練をして、
仮免許をとって、教官を助手席に乗せて、公道を運転し、

実技試験、学科試験、に合格して、

ようやく1人で、車に乗れるようになります。

車でドライブに行くぞ!
と決意してから、ひとりで乗れるようになるまで、

早い人で半月。
長い人で1年ぐらいでしょうか?

事業承継も似たようなステップを踏みます。

親の会社を継ぐぞ!と決意して

入社して、経験をつんで、経営力をつけていきます。

そして、社長交代
この社長交代が、仮免許で公道を走っている状態です。

会長が助手席に座って、あなたの運転を見守って
危ないときは、急ブレーキを踏んでくれる状態

ときどき勘違いした若社長が暴走し、
会長に急ブレーキを踏まれ、
憤慨していますが・・・

自社株の大半を持つ会長が、会社のオーナーであり、
社長は、オーナーから頼まれて会社を運営しているにすぎません。

平たく言うと雇われ社長
助手席のオーナー(教官)の意向の通りに、公道を走らなければいけません。

そうです。
仮免許で、勝手に、海に行ってはいけません!(笑

実技試験に合格(自社株を取得)し、
はじめて、1人で運転できるオーナー経営者になります。
オーナー経営者になって、ようやく海に行けるのです。

親の会社を継ぐぞ!
と決意してから、

自分で運営(運転)できるまで、
自動車だと半月~1年程度でしたが、

親の会社となると、3年~10年はかかります。
この期間の長さが不安の原因のひとつ

そして、車の運転では、一定の技術がつけば、仮免許はもらえます
さらに、一定の技術がつけば、実技試験は合格します

明確な合格ルールがあるので、努力する方向も見える

しかし、

親の会社の運転(経営)では、
一定の経営力をつけたとしても
仮免許(社長交代)を、くれるか不明

さらに経営力をつけても、
実技試験合格(自社株)を、くれるか不明

明確なルールは示されず、
努力の方向性もよくわからない

本当、不安になりますよね?

また、少し例え話です

車の免許をとって、
よし、海に行こう!となりました。

昔は、大きな道路マップを購入し、
海までのルートを検討、

・どこを目標として進み、
・どこまで行って、
・どう曲がって、
・このあたりで休憩して・・・

全工程をイメージしてから、車に乗り込みました

今は、違いますよね?
カーナビや、スマホに行先を入力したら
複数の選択肢がでてきて

その通りに走る
全工程がわからなくても目的地まで行けます。

AIの発達で、
会社経営も、目標を設定したら
カーナビのように指示してくれるでしょうか?

不可能ではないかも知れませんが、
皆が同じカーナビを使えば
皆が同じ方向に走るので、

皆が儲かるか、大損するか、
どちらの確率が高いか?と考えたら、
ナビ任せに走るのは危険な気がします

これから走る道(市場:マーケット)も、生き物ですからね。

・乗る車(会社)
・乗る人(後継者)
・教官(親:経営者)
・走る道(ターゲット市場)

と、考えてみると・・・
どれ1つとして同じではない会社、人、市場で、
走り続けなければなりません。

あなたは、いわば得体のしれない乗り物で、得体のしれない道を、
走ろうとしているのだから、不安になって当然です。

では、どうしますか?

あなたが、これから乗ろうとしている乗り物(親の会社)は・・・
・気まぐれな馬か、
・雨漏り当然のアンティーク車か、
・癖強めで運転が難しいスポーツカーか、
・自動運転可能なラクチン未来車か、
・潜水艦か、空も飛ぶのか、

よくわからない乗り物に乗り込む前には、
どんな乗り物か調べますよね?

アクセルの位置は?ブレーキはどれ?

自分は、
この乗り物を、乗りこなす技術を体得できるか?

体得するのに、どの程度時間がかかるか?

教官の現経営者は、
何がポイントで仮免許(社長交代)をくれるのか
何がポイントで運転(自社株)を任せてくれるのか?

そして、これから走る道(市場:マーケット)は、視界良好か?
濃霧・真っ暗で先が見えない道か?
この車で走れる舗装されている道か?
この車のタイヤで走れる雪のない道か?

あなたと家族の人生を賭けて
乗り込み、将来1人で運転する「車」と、目的地までの「道」

今のあなたには、何が見えていますか?

いかがでしたでしょうか?

継ぐ!継がない後継者の決断指南書研究会では、どんな乗り物(会社)なのか? 教官(経営者)はどうなれば仮免許(社長交代)を出す気か、運転者(あなた)はどの程度訓練が必要か、これから走る道(市場)のどんな道か、現経営者への取材を通じ、決断指南書として整理して提供する方法を研究・実践しています。

後継者が継ぐ・継がないの決断には、これらを調査し、わかりやすく後継者に伝える必要があると考えています。
ご相談、コラムのご感想などがあれば、お問合せから、ご連絡頂けると幸いです。

投稿者プロフィール

tamaki
tamaki
本研究会 代表
後継者の決断コンサルタント™
大手証券で相続・事業承継の専門職を経験。のべ1000社以上の経営者と面談。親子の会話不足が、後継者の情報不足を生み、承継を困難にしていると実感。後継者にもっと情報提供すべき。と説く中小企業診断士59歳。神戸市出身。

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