経営者は、子供が多くて、もめやすい?

HPをご覧頂き、ありがとうございます。
継ぐ研ネット代表の辻󠄀岡 珠磯(つじおか たまき)と申します。
本コラムは、経営者を親にもち、会社を継ぐ可能性がある方を対象に、
継ぐ「不安」をテーマに書いていきたいと考えています。
今回は、なぜ、事業承継で、兄弟姉妹の喧嘩が起きているのか?
について一緒に考えていきたいと思います。
しかし、中小企業の社長って、子供が3人いる方多くないですか?
正確な統計は知らないのですが、私がお会いした経営者は、
なぜか、子供が3人いる方が多かった気がします。
ロッテ、一澤帆布の事業承継トラブル
さて、先日、当研究会で、ロッテと一澤帆布のトラブル研究発表がありました。
ロッテ
そうです。お菓子のロッテです。
長男と次男が、日本と韓国で壮絶なバトルが繰り広げられ、
マスコミでも報道されましたのでご存じの方も多いと思います。
一澤帆布は、京都のカバン屋さんです。
こちらは、三男と長男の遺言書をめぐる争いです。
なぜ
このようなトラブルが起きたのか? 研究会でも様々な意見がでていました。
後継者は、選んではいけない!
ロッテの場合、長男と次男がともに入社しており、
長男が継ぐ空気はできていたのですが、
先代は、どちらが後継者か、明言していませんでした。
これが、トラブルの原因だと指摘する声が多いですね。
上場企業では、社員や役員を競わせ、優秀な役員が社長になる。
というのは一般的です。
中小企業でも、大きな会社ほど、
自分(親)が後継者を決めるのではなく、
会社や世間から認められた者がTOPになるべき。
という考え方をする経営者がいます。
私は、これが誤りで、喧嘩の原因だと考えています。
ロッテの場合、
長男、次男を会社に入れて、
優秀な方が、いずれ社長になる
という構造で、
長男が社長になるだろう。
と周囲は思っていたようです。
当然、社長のイスから遠ざかった次男は、
優秀でないと烙印を押されたようなモノで、
親と、長男を、恨み
起死回生の罠を仕掛ける土壌ができてしまいました。
もし、あなたのお父さん(経営者)が、
兄弟姉妹を、平等に競わせ、後継者を選ぶ
という行動をしている場合は、要注意です。
NG:後継者を選ぶ
OK:後継者は決めて育てる
私は、
後継者は選ぶのではなく、決めて育ててください。
と、お話しています。
もし、その人間に、資質がなかったらどうするんだ?
と聞かれますが、
その時は、後継者を他の兄弟姉妹に変えるのではなく、M&Aで売却してください。
とお伝えしています。
これは、ある従業員が30人ぐらいの会社の社長のセリフです。
自分の子供がかわいければ、
えいやーで、後継者を決めて、
他の兄弟は、一切、会社とかかわらせない
兄弟姉妹を喧嘩させるために、会社を大きくしたのではない
後継者を1人に決めて、育てる
それだけのことが、出来ないバカな社長が多い・・と
実際、知人の社長が、相当数、失敗しているようでした。
後継者を決めても・・・
一澤帆布の場合はどうでしょうか?
すでに三男が社長になっており、周りからすると
事業承継は完了しているように見えていたと思います。
先代が亡くなり、自社株を社長である三男が相続する旨の遺言もありました。
しかし、長男も遺言書をもっていたのです。
偽造の遺言書のようでしたが、
昔は、筆跡鑑定もされない時代だったので、
もめにもめたようです。
後継者を明確に決めて遺言まで書いていたにもかかわらず
トラブルが起きるケースがあるのです。
最近は、偽造遺言は聞きませんが、
後継者が決まっているにもかかわらず起こる相続トラブル。
これ結構、発生しています。
なぜでしょうか?
いろんな兄弟姉妹の言い分を聞いていると
相続トラブルのある共通点がありました。
親は、〇〇〇と言った
いや、△△△と言った
と争うのですが、
どちらも自分1人か、その家族で、
親に会っているときに言われた内容でした。
そして、
どちらかがウソをついているのではなく
どちらも本当に、親が話した内容なのです
なぜ、複数の子供に、
同じ資産を、お前に遺すと、話してしまうのか?
なぜ??
ですよね・・・
いろんな方の家族会議に出席して、
ようやく理解しました。原因は・・・
高齢者は、久しぶりに
子供や孫が会いに来ると
つい、気前のいいことを言ってしまう・・・
判断能力や、記憶力が低下してきて、
子供には厳しい経営者も、
孫が来ると、孫のために、何かしてやりたいと思う。
そして・・
この財産は、お前にあげたい、と言ってしまう・・。
気持ちは、わかるのですが・・・
これ、トラブルの素です。
なので、自社株などの事業用資産は、
判断能力や意思がしっかりしているうちに、
少々、税金が高くても、 生前に、後継者に渡しきるようお願いしています。
経営者は、子供が多くて、もめやすい?
いかがでしたでしょうか?
継ぐ!継がない後継者の決断指南書研究会では、経営の承継だけでなく、事業用資産の承継がスムーズにいく状態になっているか?を確認しています。
後継者の継ぐ決断は、確認しないといけないことが多いですが、子供側から確認するのが難しい項目も多いもの。親の意思が確認できない場合は、我々が社長に取材し報告させて頂きます。ご相談、コラムのご感想などがあれば、お問合せから、ご連絡頂けると幸いです。
投稿者プロフィール

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本研究会 代表
後継者の決断コンサルタント™
大手証券で相続・事業承継の専門職を経験。のべ1000社以上の経営者と面談。親子の会話不足が、後継者の情報不足を生み、承継を困難にしていると実感。後継者にもっと情報提供すべき。と説く中小企業診断士59歳。神戸市出身。
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