相続は心配ないと、聞いたのに・・・(後編)

HPをご覧頂き、ありがとうございます。
継ぐ研ネット代表の辻󠄀岡 珠磯(つじおか たまき)と申します。
本コラムは、経営者を親にもち、会社を継ぐ可能性がある方を対象に、継ぐ「不安」をテーマに書いていきたいと考えています。
今回は、前回のつづきです。 ・・・前編はこちら
会社は長男に、残りは平等に・・・
前回の事例は・・・
会社は長男に、残りは子供達に平等に遺す。
と言い続けていた社長が他界。
末娘が、遺言通りだと少なすぎる激怒!
母親、次男を巻き込んで、遺留分1億円超を要求。
長男は、相続税1億円ですら払えるか心配なのに、
追加で1億円超の現金を用意するのは明らかに無理!
で、困り果てた・・
というお話でした。
相続対策は、ちゃんとやっている。
と話す経営者も多いのですが、
実際には、不十分なケースが多いのです。
なぜか・・・
経営者は、現金が嫌い!?
経営者は、現金があると、すぐに事業や投資に使ってしまう生き物(笑
このため、資産構成で現金の比率が極端に少ないケースは多く、
相続税や遺留分が払えない事態が発生しやすいのです。

相続発生後に、相談を受けた多くのケースでは、
- 自社株と事業用の土地で、全資産の6割~7割
- 自宅不動産(担保に入っている)が1割
- 現預金は1割
事業を承継するために、
後継者は、全資産の7割~8割になる事業用資産を相続する必要があります。
一方、この通りの遺言では、
非後継者は納得せず、高確率で、トラブルが発生します。
つまり、後継者は・・・
- 社長の資産構成は?相続税額は?
- 遺言は、なんと書いてある?
- 遺留分を請求されたら払える?
を確認しないと、
安心して、継ぐ「決断」ができないのです。
後継者にとって、
企業経営だけで頭がいっぱいの時に、 親族トラブルは避けたいですからね。
しかし、後継者から、親の相続対策を聞くのは難しい・・・
ある後継者は、相続トラブルが心配で、
親に遺言の内容を確認しようとしたら・・・
「俺を殺す気か!」
と、怒られて、継ぐ気をなくした。
という方もいました。
全部くれてやる!
さて、妹から遺留分を請求された話に戻ります。
後継者は、悩みに悩んだ末、
遺留分を要求してきた妹に、
自社株も、自宅兼社屋も、全部、くれてやる!
今期限りで、退職金をもらって、社長も辞める!
おまえが社長になって、好きにしろ!
と、妹に啖呵を切って放置しました。
言うだけでなく、本当に辞める覚悟をされたようです。
自分が経営者となる?
という想定外の事態の流れに、
妹や母は、態度が一変し、
会社を、経営したいわけではない、
会社は、長兄が経営して欲しい・・・
となったそうです。
よく調べてみると・・・
父が遺言を書いた10年前は、
株価は今の10分の1、3000万円ほど
その後、実質的に長兄が経営を行い、
海外直販を開始し、事業が拡大したため
株価が急上昇し、10倍の3億円になった。
つまり、
5億円の相続資産のうち、2億7千万円は、
父ではなく、長兄の努力で増えた金額。
などの背景も理解され・・・
結局・・
父の遺志である、
・自社株と自宅兼社屋は長兄
・残りを兄弟で平等に
分けることになりました。
この事例では、
次男や、末娘が、企業経営に興味がなかったので、
大事には至りませんでしたが、
経営者の血を引き継いだ兄弟が、
自分の経営方針で、会社運営を行いたい!
となると・・・
骨肉の争いに発展するケースも後を絶ちません。
このように後継者にとって、
相続対策の確認は、本来、必須なのです。
相続は心配ないと、聞いたのに・・・
いかがでしでしょうか?
この相続トラブルの不安を解消するには、
やはり第三者に、相続対策を確認してもらう。
これが一番スムーズだと思います。
継ぐ研ネットは、相続診断も実施しています。
相続対策の問題有無の確認だけでなく、
実行すべき対策についてもご提案させて頂きます。
ご相談、コラムのご感想などがあれば、お問合せから、ご連絡頂けると幸いです。
以上
投稿者プロフィール

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本研究会 代表
後継者の決断コンサルタント™
大手証券で相続・事業承継の専門職を経験。のべ1000社以上の経営者と面談。親子の会話不足が、後継者の情報不足を生み、承継を困難にしていると実感。後継者にもっと情報提供すべき。と説く中小企業診断士59歳。神戸市出身。
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