隠れボロ会社?は継ぐな!

コラム:承継不安の処方箋

HPをご覧頂き、ありがとうございます。
継ぐ研ネット代表の辻󠄀岡 珠磯(つじおか たまき)と申します。

本コラムは、経営者を親にもち、会社を継ぐ可能性がある方を対象に、
継ぐ「不安」をテーマに書いていきたいと考えています。

今回は、財務情報の「落とし穴」についてお話しします。
もし、あなたが親の会社の決算書を見て、
 「利益も出ているし、キャッシュも多く、財務は健全だ

と安心しているなら、それは大きな間違いかもしれません。
財務は、非常に健全と、説明を受けて継いだが、
社長が亡くなったら、資金繰りが悪化するケースはよくあるのです

健全な財務の会社が、なぜ、一瞬でボロボロになるのか?

それは、現在の決算書(貸借対照表)は、
「社長が生きていること」を前提に作られている
数字だからです。

社長が他界すると、どのようなメカニズムで会社が壊れるのか、
その恐ろしい構造を見てみましょう。


理由1 社長は現金が嫌い?

経営者という生き物は、とにかく仕事が好きです。
お金(現金)ができても、すぐに事業や投資に使ってしまうのです。

調べてみると、社長の個人資産の6割〜7割が自社株
ということが、多々あります。

さらに、個人の土地を会社に貸していたり、
自宅敷地を担保に入れていたりで、

個人資産の9割が、経営で利用している資産(事業用資産)
ということもめずらしくありません。
現金は、個人資産の1割程度という方が多いかと思います。



理由2 経営者は子供が多い

理由は定かではありませんが、
中小企業の経営者の子供は、3人以上が多い気がします
あなたも兄弟姉妹3人以上いませんか?

当然ですが、経営を承継するには、
後継者は、自社株などの事業用資産を承継する必要があります。

しかし、社長の個人資産の9割が事業用資産である場合
後継者に事業用資産すべて相続させようとすれば、
残りの兄弟姉妹が黙ってはいません

「いくらなんでも不平等だ!」

と激しい争族になり、
後継者は、事業用資産の一部を承継することができず、
自社株が分散して、経営が極端に不安定になる・・・
ということも珍しくないのです


理由3 会社のお金が消える!

後継者が、自社株の3分の2以上を確保できたとしても、
「相続税」と、「遺留分」という現金の支払いが待っています

遺留分とは、法律で定められた最低限もらえる金額で、
多く相続した人が請求されると、現金で払わないといけない
というルールです

業績がいい会社は、1億円以上の相続税や遺留分を、
現金で用意しないといけないケースもでてきます。

しかし、親からもらったのは自社株と不動産、
現金は他の兄弟に渡しているので、
後継者は現金がない場合が大半です


こんな場合、どうするかというと・・・
会社から、親の「死亡退職金」として現金を抜いたり、
後継者の自社株を、会社に買い取らせる(金庫株にする)ことで、
会社から現金を引き出すのです

つまり、後継者は、
会社のお金で、相続税や、兄弟姉妹に遺留分を支払うことになります。
これが、社長が亡くなると同時に、
会社から数千万〜億単位の現金が「ドカン」と消える原因です

さらに、「借金返済」というトドメの一撃がくることも・・・

遺産分割で争った結果、妹が、実家を相続することになり、
私の土地についている借金の抵当権(担保)を外してくれ
と言ってくるようなケースです

当然、担保を外すには、会社が銀行に借金を返すしかありません。
銀行からも「一括返済してください」と迫られます。

退職金と金庫株で現金が枯渇しているところに、借金の一括返済。

最悪、会社は黒字倒産
下手をするとあなたは、自己破産
へと追い込まれます。

これが、今の決算書を信じてはいけない理由です

いかがでしょうか?
今の決算書がどれだけ綺麗でも
それは「嵐の前の静けさ」に過ぎないかもしれないのです。

今の財務を信用せず、「Xデー(相続)」が起きた後の決算書を想像しなければ、
会社を継いでから地獄を見ることになります。

しかし、親に対して
「死んだときのシミュレーションを見せて」
「お金がいくら減るの?」
とは、聞けないですよね?

親も
「税理士に任せているから大丈夫」
と根拠のない自信
を持っていることが多いものです。

もし不安を感じているなら、ぜひ一度ご相談ください。
私たち専門家が第三者の立場で、社長に診断を提案し、
継ぎやすい会社に整っているか診断いたします

ご相談、コラムのご感想などがあれば、お問合せから、ご連絡頂けると幸いです

投稿者プロフィール

tamaki
tamaki
本研究会 代表
後継者の決断コンサルタント™
大手証券で相続・事業承継の専門職を経験。のべ1000社以上の経営者と面談。親子の会話不足が、後継者の情報不足を生み、承継を困難にしていると実感。後継者にもっと情報提供すべき。と説く中小企業診断士60歳。神戸市出身。

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