売れない会社は継ぐな!

コラム:承継不安の処方箋

今回は、親の会社は、どんなに業績が良くても、
『第三者に売れない会社』は、継いではいけない!というお話です。

私は普段、地主さん向けに相続対策のアドバイスもしています。
そこで必ずお伝えしているのが、

「相続対策とは、子供が『もらって嬉しい形』に整えること」

という基本です。

想像してみてください。

親だけでなく、叔父叔母など親族数人の共有名義で、
かつ、一部の方は、すでにお亡くなりになっている。

そのため、誰が真の所有者か不明で、
収入もほぼ無いのに、
固定資産税だけは、父親1人が払っている土地。

これ、もらって嬉しいですか?

遠方の広大な山林。
道路も、上下水も、電気もなく、
誰も買手がつかない山
しかも、線路に接していて伐採などの出費はかかる。

これ、もらって嬉しいですか?

売れない『負動産』なんて、いらない!
と、即答できますよね?

しかし、これが「会社」になると、
なぜか、売れるかどうか?と、考える人がいなくなります。

親の会社は黒字だし、ほぼ無借金だから、
売れないってコトはない。
そう思っている方も多いと思います。

しかし、
「儲かっている会社」と「売れる(M&Aできる)会社」は、イコールではありません。

儲かっていると、M&A仲介の営業員から、
毎週のように「売りませんか?」と営業を受けるので、
自分の会社は、「売れる」、と考えている社長も少なくありません。

しかし、例えば次のような会社は、
例え、M&A仲介の営業員が頻繁に来ていても、
そう簡単には売れません。

  • 社長に極度に依存している会社
  • 株式が広く分散している会社

あたりまえですが、
今の社長が、いなくなったら稼げなくなる会社なんて
誰も買ってくれません。

でも、多くの中小企業は、
社長が、唯一のエンジンで、社長を中心に組織が作られ
社長が抜けると、動きがとまります。

これを体で感じている後継者からは、
親の会社を継ぐのは片道キップ
一度、継いだら、死ぬまで社長を続けないといけない

という不安を話される方がいます。
万が一、自分の性に合わないとわかっても、
もう引き返せない恐怖です。

でも、大昔ならいざしらず、
今は、M&Aで会社を売却するのも、逆に買うのも、
経営者の選択肢として、一般的になってきました。

会社の状況を分析してみないと、無責任なことは言えないですが、
後継者候補の方には、多少失敗しても、
M&Aで売却するという退路があるなら、思い切って挑戦するのもアリだと思います

と、お伝えしています。

また逆に、売れない会社=退路のない戦い、の場合は、

「背水の陣」という言葉のように、
川を背後にした逃げ場のない戦いでは、
前に進んで「勝つか」、「全滅するか」、
となり、能力以上の成果を出す可能性もありますが・・・

自ら好んで死地に赴く必要があるのでしょうか?
自分1人なら、いざ知らず、
奥さんも、子供もいる状態で?

職業はいろいろあり、経営者の血が騒ぐなら、自ら独立する手もある。
退路がない(売れない会社の)場合、無理して、親の会社を継がなくていいのでは?
と、お伝えすることが多いです。

相続対策の基本
「もらって嬉しい形に整える」=「売れる会社に整える」

です。

後継者にとって、挑戦しやすい会社は、万が一の退路が用意できている会社
と思いませんか?

以前、ご紹介しましたが、
私は、2代目、3代目の社長と仲良くさせてもらえたら、必ず、
「どのような理由で、会社を継ぐ決断をされたのですか?」という質問をします。

その中で、一番、なるほど・・・
と思い、かつ、先代の社長はすご腕だったんだなぁ・・と思う一言が、

「5年、社長をやって、うまくいかなかったら、会社を売っていい」

と言われたから。という理由でした。
この言葉は、1社だけでなく、複数の会社で聞いた言葉です。

従業員が数百人いる会社でも、10人以下の会社でも、
まったく同じセリフでした。

ある社長は、
同業他社から「息子さんが継がなければ面倒みるよ。」
と言われており、会社を売るシナリオも準備しつつ
息子の覚悟が決まるのを待っていました。

ここまで、周到に準備されていたら、チャレンジしたくなりますよね(笑

でも、
大半の場合、ここまで考えて、
事業承継の準備をしているのは、かなり稀です。

感覚論で恐縮ですが、私が面談させてもらった会社、
100社に1社、あるかどうか。というレベルです。

あなたが、継ぐか、継がないか、
迷っている会社(社長)の事業承継の準備状況は、どうでしょうか?

もらって嬉しい形に整えられているか、どうやって調べたらいいか・・・
お悩みの場合は、我々にご相談ください。
ご相談、コラムのご感想などがあれば、お問合せから、ご連絡頂けると幸いです

投稿者プロフィール

tamaki
tamaki
本研究会 代表
後継者の決断コンサルタント™
大手証券で相続・事業承継の専門職を経験。のべ1000社以上の経営者と面談。親子の会話不足が、後継者の情報不足を生み、承継を困難にしていると実感。後継者にもっと情報提供すべき。と説く中小企業診断士60歳。神戸市出身。

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